玄関をどの方角にするかによって、家に入ったときの印象や採用できる間取りは大きく変わります。
日当たりの良い南面に玄関を配置したいと考える方もいるのではないでしょうか。
または、南道路の土地を検討しているが、本当に南向きの玄関で良いのか迷われている方もいると思います。
そこで今回は、南向きの玄関のメリット・デメリットと、他方角の玄関の特徴を紹介します。
玄関の向きが「南」のメリット
玄関の向きを南にするメリットを紹介します。
玄関が明るい
玄関が南側にあると日差しが差し込みやすいため、明るい空間になります。
朝~昼間は電気をつけなくても問題ないためスイッチを押す手間がなく、玄関の掃除などもしやすいです。
また、明るい玄関は広く感じさせることができるため、来客時の印象なども良いでしょう。
冬場でも比較的玄関が暖かい
日当たりの良い南向きの玄関は、冬場でも比較的暖かいです。
もちろん暖房のついた部屋と比べると寒いですが、北向き玄関のような底冷えを防ぐことができます。
断熱性の高い窓や玄関ドアを採用することで、より快適な玄関に仕上げることが可能です。
外観の顔を作りやすい
南側に玄関があると、外観が作りやすいというメリットがあります。
玄関ドアや玄関周りの装飾がアクセントになるため、存在感のある外観に仕上げやすいです。
また、南側にはLDKを作るケースも多く、大きな窓をバランス配置しやすいでしょう。
駐車場の雪解けが早く、ジメジメしにくい
南玄関の家は南道路に接していることが多いため、建物の前に駐車場や庭を作ることが予想されます。
すると、駐車場や庭に日が当たるため雪解けが早く、湿気が溜まりにくいです。
積雪が多い地域では、北側の駐車場でなかなか雪が溶けずに大変という意見も。
南側の駐車場なら雪かきの負担を軽減できるでしょう。
植物が良く育つ
日当たりの良い南向きの玄関は、植物が良く育ちます。
玄関周りに植栽したり、花を植えたプランターを玄関ポーチに置いたりする家庭も多いでしょう。
日が当たりにくい方角に植物を植えるときは、太陽光がなくても育ちにくいものを選ぶ必要があるため、選択肢が狭まってしまうことも。
南向きの玄関なら、お気に入りの植物を長い間楽しむことができるでしょう。
玄関の向きが「南」のデメリットと対策
玄関の向きを南にするデメリットと対策を紹介します。
南側に配置できる居室が少なくなる
南側に玄関があると、他の空間を南側に配置しにくくなります。
例えば、北玄関の場合はLDK全体を南側に配置できたが、南玄関だとリビング・ダイニングしか南面に接することができないなどのケースです。
玄関は日当たりが悪くても問題ないと考える方にとっては、デメリットに感じるでしょう。
【対策】
- 東西に長い土地に建てる
- コの字やロの字にして南側の面を増やす
横長の建物を建てられるような敷地を選ぶことで、南面にたくさんの空間を配置することができます。
また、コの字・ロの字型にすることで南面に接する空間を増やすことが可能です。
建物の形状を工夫して、南向き玄関のデメリットを解消しましょう。
夏場は玄関が暑くなりやすい
日当たりの良い南向きの玄関は、夏場は高温になりやすいです。
エアコンのある部屋から玄関に行くとかなり温度差を感じるでしょう。
また、玄関に土間収納や趣味スペースがある場合、夏場は野菜などを置いておけなかったり趣味を楽しめなかったりします。
【対策】
- 大きな窓をつけない
- 窓や玄関ドアの断熱性を高める
- 玄関に趣味スペースがあるならエアコン設置の検討を
玄関の窓を小さくしたり、窓や玄関ドアの断熱性を上げることで、外気の熱が室内に入りにくくなります。
南向きの玄関で長時間過ごす計画があるなら、全館空調やエアコンの設置を検討しても良いでしょう。
シンプルな外観を作りにくい
南側に玄関があると、シンプルな外観を作りにくいというデメリットがあります。
なぜなら、南面には大きな窓を多く配置するケースが多いため、存在感のある外観に仕上がりやすいからです。
窓が少ないシンプルモダンの外観を希望する場合は、さまざまな工夫が必要になります。
外観の要望を早めに設計士に伝えて、デザインも日当たりも満足できる建物に仕上げてもらいましょう。
【対策】
- 北向き玄関に適した敷地を選ぶ
- 窓を壁などで目隠しする
- 中庭を作って窓を隠す
敷地を選べる場合は、シンプルモダンな外観が立てやすい北道路の土地などがおすすめです。
南向きの玄関に適した土地の場合は、建物の形状や壁の配置を工夫してシンプルモダンの外観に仕上げましょう。
こちらは、木製フェンスで壁を作って中庭の大きな窓を隠した事例です。
外から見たときは窓がないシンプルモダンな外観に仕上げることができます。
道路からの視線が気になりやすい
南向きの玄関の家は、南道路の敷地のケースが多いです。
そのため、道路側にLDKなどの窓が配置される間取りが一般的で、外からの視線が気になりやすいことがあります。
せっかく大きな窓をつけたのに、いつもカーテンを閉めているというような家庭も少なくありません。
【対策】
- 外構で目隠しフェンスを付ける
- 窓を高めに配置する
- 建物形状を工夫して窓を隠す
外からの目線を遮りたいなら、外構でフェンスを取り入れましょう。
日差しは通すが目隠しになるフェンスがあります。
また、窓の位置を高めにしたり、コの字・ロの字など建物形状を工夫して目隠しをする方法も効果的です。
リビングの窓からの景色がイマイチになることも
南向きの玄関の場合、南側のリビング前に駐車スペースや庭を作ることが一般的です。
すると、リビングの窓から見える景色が駐車スペースになってしまい、景観がイマイチということも。
北・西・東道路の場合は建物の南側に庭を作るケースが多いため、リビングからの景色を良くしやすいです。
【対策】
- 玄関前や横を駐車場、リビング前は庭にする
- リビング前に中庭を作って目隠しの壁やフェンスをつける
玄関周りに駐車スペースを作ることで、大きな窓があるリビング・ダイニングの前を庭にすることができます。
車と玄関位置も近くなるため、雨の日の乗り降りや荷物運びも楽々です。
南向きの玄関と「風水」や「鬼門」の関係
間取りを考えるときに風水や鬼門などを気にされる方もいますよね。
南向きの玄関との関係性を紹介します。
玄関の向きが南の家は風水的に良いのか
南向きの玄関は、風水的には良いとされています。
日当たりの良い南玄関は「陽」の影響を強く受けるため、運気が入り込みやすいです。
ただし、生まれ年や他の空間の配置などによっても、南玄関の吉凶は異なるとの意見も。
風水が気になる方は、自分が信仰している風水の専門家に見てもらうと良いでしょう。
鬼門を気にするなら南西の玄関は避ける
風水や家相はそこまで気にならないが、なんとなく鬼門の位置に玄関は避けたいと考える方もいますよね。
南玄関の場合、真南と南東の玄関は良いとされています。
しかし、南西の玄関は裏鬼門にあたるため凶方角ですので、気にするなら避けるべきでしょう。
ただし、家相や鬼門などを気にしすぎることで、暮らしにくい間取りになるケースも少なくありません。
暮らしやすさも考慮しながら、間取りを考えてみてくださいね。
各方角ごとの玄関向きの特徴を紹介
南向き以外の方角の玄関の特徴を紹介します。
東向きの玄関
東向きの玄関は、午前中から昼にかけて日差しが入ります。
南東に配置すれば南玄関と同様のメリットを受けることができますし、北東に配置すれば夏場に暑くなりすぎない玄関になるでしょう。
敷地の東側に玄関と駐車スペースを作ることで、南側に広い庭を配置することも可能です。
ただし、午後から夕方は日差しが入りにくくなるため、比較的早い時間帯から玄関の電気をつける必要があります。
西向きの玄関
西向きの玄関は、午後から夕方にかけて日差しが入ります。
朝から昼間にLDKで長く過ごす家庭では、西側に玄関を配置することで居室の日当たりを確保しやすいです。
デメリットは強い西日が玄関に差し込む点です。
夏場は玄関が高温になりやすいだけでなく、玄関で来客と話しているときに西日が眩しいと感じるかもしれません。
窓の位置や大きさを工夫して、日差しの対策を行いましょう。
北向きの玄関
北向きの玄関は直射日光が入ることがないため、玄関に日当たりを求めないという方におすすめです。
北側に玄関を作ることで、南面全体にLDKや和室などの居室を配置することができます。
ただし、日当たりの悪い玄関はどんよりとした印象を与えやすかったり、冬場に気温がかなり低下することも。
北東・北西に玄関を配置して東や西側に窓をつけるなど、日差しを取り込めるような工夫を行うと良いでしょう。
【おわりに】
玄関の向きを南にすると、さまざまなメリットがあります。
特に、明るく開放的なイメージの玄関にしたい方や、日当たりの良い駐車場や庭を作りたい方にはおすすめです。
外からの目線が気になりにくい間取りや、暑さ対策を行うことで暮らしやすさも向上するでしょう。
デメリットをしっかりと対策した上で、南向きの玄関を採用してみてくださいね。
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