5月になると相馬の町が一変します。
鎧に身を包んだ騎馬武者が町を駆け、太鼓の音が鳴り響くと、観衆からは大きな歓声が沸き起こるのです。
この壮大な行事「相馬野馬追(そうまのまおい)」は、私たちの町に根ざす千年以上の伝統を今に伝える、誇り高き祭りです。
今回は地元工務店だからこそ肌で感じられる「相馬野馬追」の魅力をご紹介します。
相馬野馬追の歴史──千年を超える「武士の魂」
相馬野馬追の起源は平安時代末期にさかのぼります。
関東を治めていた武将「平将門(たいらのまさかど)」が、戦いに備えるために野生の馬を捕らえて軍事訓練を行ったのが始まりとされます。
その後、将門の子孫である相馬氏がこの地を治めるようになり、家臣団の武芸訓練として毎年開催されるようになりました。
それが時代を経て神事として、そして相馬市・南相馬市の地域文化として発展してきました。
相馬野馬追の日程とスケジュール
相馬野馬追は3日間にかけて行われ、毎日異なる楽しみ方ができます。
2023年まで7月末に開催されていましたが、炎天下による馬の体調面などを配慮して2024年から5月に変更されました。
● 1日目:出陣式とお行列(5月最終土曜日)
各地の御神旗を奉じて甲冑姿の武者たちが行進します。
町の中心街を練り歩くその光景は、まるで時代絵巻のようで圧巻の眺めです。
観客からは歓声と拍手、そして感嘆のため息が漏れます。
● 2日目:甲冑競馬・神旗争奪戦(5月最終日曜日)
雲雀ヶ原祭場地(南相馬市原町区)にて行われるこの日が、最も盛り上がる日です。
戦国さながらの甲冑をまとった騎馬武者が、スピードと技で競い合います。
なかでも「神旗争奪戦」は空に打ち上げられた御神旗を奪い合うもので、勇ましさと熱気に満ちており、見る人の心も熱くさせる迫力満点のイベントです。
● 3日目:野馬懸(のまがけ)(5月最終月曜日)
相馬小高神社にて行われる神事で、かつて野生馬を素手で捕らえて神前に奉納した伝統の姿が残されています。
現在では保護された馬を用いながらも、当時の緊張感や荘厳な雰囲気が感じられる神聖な行事です。
相馬野馬追に関するQ&A
相馬野馬追に関してよくある質問についてお答えします。
Q1. 相馬野馬追いはどこで開催されますか?
福島県南相馬市を中心に、相馬市・浪江町・飯舘村など広域にわたって行われます。
メイン会場となるのは「雲雀ヶ原祭場地(南相馬市原町区)」で、ここで甲冑競馬や神旗争奪戦が行われます。
Q2. 何日に開催されるのですか?
5月の最終土曜・日曜・月曜の3日間です。
2025年は以下のスケジュールが予定されています。
- 5月24日(土):お繰り出し・宵乗り
- 5月25日(日):野馬追
- 5月26日(月):野馬懸
詳細は下記ページをチェックしてみてくださいね。
▷参考:令和7年度「相馬野馬追」スケジュール|一般社団法人相馬野馬追
Q3. 馬はどこで見られますか?
お行列や祭場地の競馬場では、間近で馬と武者の姿を見ることができます。
また、行列前後には地元の方が馬を連れて移動している様子も見られ、街全体が“馬のいる日常”に変わります。
Q4. 一般の人でも参加できますか?
祭りの武者行列や神旗争奪戦に参加するには、相馬野馬追の関係団体などへの所属が必要ですが、見学や観覧は誰でも可能です。
観覧席は有料席・無料席がありますが、当日は大変混み合いますのでゆったりと観覧したいならチケットの事前予約もおすすめです。
Q5. 相馬野馬追の日に宿泊するにはどうすればいいですか?
南相馬市内の宿泊施設はすぐに満室になる年も少なくないため、数か月前からの予約が望ましいです。
近隣の相馬市やいわき市、福島市などに宿泊して車で来場される方もいます。
ツアーが組まれることもあるため、早めに旅行会社にお問い合わせいただくのがおすすめです。
Q6. 地元の人はどんなふうに関わっていますか?
多くの家庭では家族や親戚に騎馬武者がいたり、衣装の準備や馬の世話を手伝ったりと、さまざまな形で関わっています。
「相馬野馬追があるから、町がひとつになる」と感じている住民も多いです。
Q7. 相馬野馬追の日は道路が混雑しますか?
はい、特に日曜日(神旗争奪戦)と行列の日は交通規制が多くなります。
公共交通機関の臨時便やシャトルバスも運行されますので、事前の情報収集がおすすめです。
Q8. 子ども連れでも楽しめますか?
もちろんです!
迫力満点の馬と騎馬武者の姿に、子どもたちも大興奮しています。
ただし、音が大きかったり炎天下になったりすることもあるため、帽子・耳栓・飲み物などの準備がおすすめです。
相馬市に住む人の暮らしとともにある「相馬野馬追」
相馬野馬追は“見る祭り”ではありません。
相馬市や南相馬市などの地元に暮らす人々にとっては「参加する祭り」という感覚です。
子どもから大人まで、何らかの形で関わっています。
祖父の代から相馬野馬追の武者として参加し、その姿を見て育った息子さんが、今では騎馬武者として馬にまたがるというご家庭も少なくありません。
こうした“伝統のバトン”が、ごく自然に渡されていくのが、相馬市での暮らしです。
地元の行事に家族全員で関わり、同じ時間を過ごすことで、かけがえのない思い出が生まれていきます。
祭りの準備や当日の興奮をともに体験することは、日常では得られない特別な絆を育んでくれるのです。
地元工務店として考える「相馬野馬追」
そんな文化に触れながら家づくりをしていると「相馬野馬追に関わるご家族にふさわしい家とは?」と私たちも自然と考えるようになります。
例えば、甲冑や馬具を保管するための土間や広い納戸、仲間を招いて祭りをゆったりと語らう中庭やリビングがある住まいはどうだろうか。
さらには祭りの行列が見えるように工夫された窓の位置や高さ、間取りなどを考えることで、ご自宅から「相馬野馬追」を楽しむことも可能です。
「相馬野馬追」の魅力を知る地元工務店だからこそ、祭りとともにある暮らしや、家族の思い出が深まる住まいをご提案できると考えています。
文化を住まいで受け継ぐということ
家というのは単なる建物ではなく、ご家族の暮らしの舞台であり、記憶が積み重なる場所です。
「相馬野馬追」という伝統が人々の記憶に深く根を下ろしているように、その行事とともに生きる人々の暮らしを支える家づくりには、地域への理解と敬意が欠かせません。
地元の工務店だからこそわかる、風土や文化、季節の移ろい、人とのつながり。
それらを織り込んだ家づくりは、やがて新しい「地域の記憶」となっていくのだと、私たちは信じています。
おわりに
相馬野馬追は、これから先も続いていくでしょう。
親が馬にまたがる姿を見て「いつか自分も出たい」と子が思う、そんな連鎖が地域のつながりをもたらし、この町の未来をつくっていきます。
私たちアイリスホームもその一員として、家づくりを通して地域の文化を支えていきたいと考えています。
地域の特性を活かした家づくりをしたという方は、相馬市・南相馬市の相双地区で家づくりをする地元工務店「アイリスホーム」へ、ぜひお気軽にご相談くださいね。
相馬市・南相馬市の暮らしに関して、こちらのブログでも解説しておりますのでぜひご覧ください。
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