平屋は住宅の中でもオリジナル性が高く、家屋内の空間を広く設計できることから人気の住宅です。
そのため、平屋と2階建て住宅を同時に検討する人も多いです。
しかし、平屋は2階建てよりも土地面積が広くなりメリットだけでなくデメリットもあります。
そこで、この記事では平屋に必要な土地面積やメリット・デメリット、オススメの間取りについて解説します。
現在注文住宅を検討しており、平屋に興味がある人は是非参考にしてください。
□2階建てにはない「平屋の魅力」とは?
平屋は2階建て住宅や3階建て住宅とは違い、2階以上の構造物がない住宅です。
そのため、平屋にしかない魅力が多くあります。
この章では平屋が持つ代表的な魅力について解説します。
・開放的な空間を演出することができる
・耐震性能が高い
・効率の良い生活動線が実現できる
・ランニングコストが低くなる
*開放的な空間を演出することができる
平屋は2階以上の構造物を支える柱が不要となるため、天井を高くしたり開放的なリビングを設計したりすることが可能となります。
また、全館空調などの空調システムを合わせて導入することで壁を取り払うことができ、モデルルームのような家を建築することが可能となります。
また、開放的な空間にすることで家族の気配を感じやすくなるという特徴もあります。
*耐震性能が高い
建造物は背が高くなるにつれ地震に弱くなり、水平方向と垂直方向のどちらにも耐震補強によって対応する必要があります。
そのため、家にかかる費用の中でも耐震関連の費用が高くなってしまいます。
その点、平屋は2階部分がない上に地面と接する面積が大きくなるため、揺れに対して非常に強くなります。
このような構造体であるため地震だけでなく、台風による強風の揺れや飛来物が衝突する可能性を低くすることができるでしょう。
*効率の良い生活動線が実現できる
平屋は全ての居室空間がワンフロアに設計されるため、階段や踊り場の設計が不要です。
そのため、生活動線が「直進」「直角」「回遊」のどれかになるため、家族がぶつからない動線になります。
また、ワンフロアにすることで必ずリビングを通る設計となり、コミュニケーションが生まれやすい空間となります。
水回りも一箇所に固められることから、玄関→台所→洗面所とバスルーム→リビングを回遊して移動することが可能です。
このような動線を確保できるという点は、平屋が人気となる理由の1つだといえます。
*ランニングコストが低くなる
ワンフロアで開放的な平屋は同じ空間に家族が集まりやすく、結果的に光熱費を抑えることができます。
また、全館空調を導入することでヒートショック対策としてヒーターを洗面所やトイレに置く必要もなく、ランニングコストが1年を通して低くなるでしょう。
また、2階部分がないことから外壁の面積が少なくなり、外壁塗装費用が安くすみます。
そのため、10年に1度のメンテナンス費用においても2階建て住宅よりも抑えることができるでしょう。
□家族の人数によって必要な坪数は?
平屋に限らず、家族構成によって必要な坪数を正確に知ることは重要です。
さらに、現在の家族構成だけでなく、将来子どもが独立するケースや同居する可能性を踏まえて考えておく必要があるでしょう。
家族構成によって必要な坪数は厚生労働省が公開している「住生活基本計画における居住面積水準」をベースに算出することができます。
そこで、この章では同水準の内、「誘導居住面積水準」について解説します。
「誘導居住面積水準」には一般型と都市居住型があるため、家の建築を検討しているエリアに合わせて選択しましょう。
(参考サイト:住生活基本計画における居住面積水準
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000012t0i-att/2r98520000012t75.pdf)
*一般型
一般型の場合、単身者は約16.63坪。2人以上の世帯であれば、約7.6坪×世帯人数+約7.6坪となります。
そのため、世帯人数が2〜5人の場合、必要な坪数は次のようになります。
世帯数・・・必要な坪数
2人・・・約22.8坪
3人・・・約30.4坪
4人・・・約38.0坪
5人・・・約45.6坪
上記によると、家族4人を想定した場合は約38坪の建物面積が必要ということになります。
*都市居住型
都市居住型の場合、単身者は約12.1坪。2人以上の世帯であれば、約6坪×世帯人数+約4.5坪となります。
そのため、世帯人数が2〜5人の場合、必要な坪数は次のようになります。
世帯数・・・必要な坪数
2人・・・約16.5坪
3人・・・約22.5坪
4人・・・約28.5坪
5人・・・約34.5坪
都市居住型は都心とその周辺での生活を想定しており、一般型よりも坪数は小さくなります。
そのため、家族4人構成の場合は一般型よりも約9.5坪小さい約28.5坪となります。
このように、必要な坪数はエリアや環境によって変わるという特徴があります。
家を建ててから、「狭すぎた」「広すぎた」という後悔をしても遅いため、必要な坪数については事前にしっかり協議することが重要です。
□人数×面積別!オススメの平屋間取りとは?
この章では家族構成別のオススメ間取りについて解説します。
平屋は家族構成によってポイントとなる間取りが変わるため、間取り設計の参考にしてください。
*2人暮らし
必要な坪数は一般型で約22.8坪、都市居住型で約16.5坪です。
2人暮らしの場合は部屋数が多いと持て余す間取りとなるため、リビングと寝室、和室の1LDKがオススメです。
また、共働きでリモートワークがそれぞれ必要な場合はリビングと和室、もしくは寝室にリモートスペースを設置することで作業が可能となるでしょう。
*3人~4人暮らし
必要な坪数は一般型で約30.4坪~約38坪、都市居住型で約22.5坪~約22.8坪です。
3人〜4人暮らしは一般的な家族構成であるため、参考にしやすい間取りだといえます。
夫婦と子ども2人の各居室とリビング、和室という間取りであればコミュニケーションとプライバシー保護を両立することができ、快適な生活を実現することが可能です。
*5人暮らし
必要な坪数は一般型で約45.6坪、都市居住型で約34.5坪です。
基本的には3人〜4人暮らしの間取りがベースとなりますが、1人増えることで家事の負担が多くなります。
そのため、ランドリールームやパントリーを設置することで家事動線の効率化を意識しましょう。
□平屋を建てる土地に必要な敷地周辺の環境は?
平屋は2階建て住宅よりも建築面積が広くなるため、必要となる敷地面積も大きくなります。
しかし、実際に平屋を建築するためには敷地面積と同様に「建ぺい率」と「容積率」も重要です。
建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の割合のことで、容積率は延床面積の割合となります。
建ぺい率と容積率はエリアによって定められており、たとえば建ぺい率60%容積率200%のエリアでは60坪の土地に建築面積36坪、延床面積120坪の平屋を建築することが可能です。
しかし、第一種低層住居専用地域など小規模の家しか建築できないエリアの場合、建ぺい率50%容積率80%という制限になることもあります。
この場合、同じ60坪の面積でも建築面積は30坪、延床面積は40坪となり前述した一般型の5人暮らしに必要な坪数を確保することができません。
これ以外にも道路や隣地に影がかかる時間の制限や、前面道路が狭いことで建築面積が制限されることもあります。
このように、ただ大きい土地を探せばよいのではなく、敷地周辺の環境や法令制限を総合的に判断し土地を検討する必要があるでしょう。
□平屋のメリット・デメリットは?
平屋にはメリットも多いですが、デメリットもあります。
そのため、家づくりをスタートする前には平屋のメリットとデメリットを両方把握し、検討できるようにしておきましょう。
*メリット
前述したように、平屋のメリットは開放的な設計ができるという点と効率のよい生活動線・家事動線です。
2階建て住宅は柱や壁といった重要な構造物を設置する必要があり、家屋内に遮蔽物ができてしまいます。
その点、平屋は2階異常を支える構造物を設置する必要がなく、その結果天井を高くし開放的な間取りを設計することが可能となります。
また、理想の生活動線や家事動線に基づいた設計にすることができるのも大きなメリットといえるでしょう。
家族が一斉に動き出す朝は動線がぶつかりがちですが、階段や踊り場がない平屋の場合は水回りを回遊するように動線確保することができるため、効率良く出かける準備をすることが可能です。
それ以外にも耐震性能の高さや風に強いという点など、平屋には多くのメリットがあります。
*デメリット
平屋のデメリットは、建築面積と敷地面積が増えることで総額が2階建てよりも高くなるという点です。
たとえば120㎡の家を建築し、車を2台駐車する場合であれば40坪の土地があれば十分です。
しかし、平屋の場合は本来2階部分にあたる建築面積を1階に用意する必要があるため、55坪以上の土地が必要となるでしょう。
仮に1坪50万円のエリアだった場合、土地だけで750万円総額高くなることになります。
それ以外にもコストが高い基礎部分や天井部分の面積が増加するため、全体的な費用は高くなることを知っておきましょう。
また、家族とコミュニケーションが取りやすいのが平屋のメリットである一方、プライベート空間を確保しにくいという点もデメリットだといえます。
そのため、平屋に住む際には家族間のルールをしっかり決めておく必要があるでしょう。
□まとめ
平屋に必要な面積は住むエリアや家族構成によって変わります。
そのため、どのような現在と将来の家族構成をイメージし、持て余す設計にならないよう熟考する必要があるでしょう。
また、オシャレでオリジナル性の高い家を建築できる反面、プライベート空間の確保が難しくコストが高くなるなどメリットとデメリットのどちらも多いといえます。
このことから、平屋を建築する際にはしっかりと家族間で話し合い、綿密な資金計画を実施することをおすすめします。