新築に入った時のあの独特な匂い。
せっかく新築の住宅での新たな生活を楽しみにしていても、独特な匂いが充満していると気分がそがれてしまうかもしれません。
では、そもそもあの匂いの発生源は何なのでしょうか。
今回は、新たな生活環境での暮らしをより快適にするために、新築の独特な匂いについて解説します。
具体的には、「新築の匂いはいつまで続くのか」についてと、効果的な匂い対策についてご紹介します。
新たな環境での生活をより快適にするために、ぜひこの記事を参考になさってください。
□新築から独特な匂いを感じるのはなぜか
新築から漂う独特な匂いに嫌悪感を覚える方は少なくありませんが、その匂いの原因は一体何なのでしょうか。
以下では、新築の独特な匂いの原因として考えられるものを2つご紹介します。
*床下のカビや雑菌
「新築なのに、カビや雑菌が発生しているわけない」とお考えの方も多いかもしれません。
ただし、新築を建てて引き渡してもらう時点で、カビや雑菌が繁殖していてもおかしくありません。
カビや雑菌の発生は、新築工事の「ある工程」と関係しています。
新築工事で、床下にコンクリートを流して、住宅の基礎部分をつくるという工程があり、その工程によって、カビや雑菌が発生する可能性が高まります。
より詳細に説明すると、コンクリートを床下に流してから、コンクリートが乾くまで数日間かかります。
仮に、その間に雨が降ると、コンクリートは雨に濡れてしまい、雨に濡れたコンクリートにはカビや雑菌が繁殖しやすくなります。
そのような状態で工事を進めると、床下にはカビや雑菌が繁殖してしまい、独特な匂いの発生につながる可能性があります。
*ホルムアルデヒド
「ホルムアルデヒド」という言葉を初めてお聞きになった方が多いかもしれません。
ホルムアルデヒドとは、シックハウス症候群の主な原因の一つであり、刺激臭を放つ危険な化学物質です。
実は、ホルムアルデヒドの危険性は認知されているため、建築基準法によってホルムアルデヒドが発散される建材の使用は制限されています。
ただ、ホルムアルデヒドは非常に利便性が高く、安価であるという特徴もあるため、他の用途での使用そのものが禁じられているわけではありません。
ホルムアルデヒドは主に合板の接着剤や塗料などに使用されているため、そこから独特な匂いが発生している可能性があります。
□不快な匂いの原因であるホルムアルデヒドとは
ここでは、より詳細に、ホルムアルデヒドについて解説します。
ホルムアルデヒドとは、非常に危険な化学物質ではあるものの、普通に空気中に存在しています。
常温では、無色透明の気体として存在しており、刺激臭のような独特な匂いが特徴的です。
ホルムアルデヒドの最も大きな特報は、呼吸器官系に影響を及ぼすことです。
ホルムアルデヒドの匂いは人の粘膜を刺激し、目に触れると目からは涙が流れ、鼻に触れると鼻水が止まらなくなります。
そのため、健康に悪影響を及ぼす可能性があり、しっかりと対策を講じる必要性があります。
□新築の匂いはいつまで続くのか
多くの場合、新築の独特な匂いの発生源はホルムアルデヒドです。
ホルムアルデヒドは、接着剤や塗料に含まれていることによって、空気中に充満し、それが独特な匂いにつながっています。
「その新築の独特な匂いはいつまで続くのか」と不安を感じられる方が多いかもしれませんが、通常はそのうちに自然と消えていきます。
「何日間経ったらその匂いは絶対に消える」という明確な基準はありませんが、ホルムアルデヒドは一種の気体であるため、しっかりと換気をしていると、おのずと消えていきます。
□ホルムアルデヒドの影響を受けづらい家具の選び方
ホルムアルデヒドの影響を受けづらい家具を選ぶ際は、家具に貼られた「ホルムアルデヒド発散量による区分」というラベルを参考にしましょう。
そのラベルには、ホルムアルデヒドの量が、「☆」の数によって記載されています。
具体的には、「☆」の数が多ければ多いほど、ホルムアルデヒドの発散量は少なく、独特な匂いが発生しづらいことが分かります。
ただし、家具の材料からホルムアルデヒドが発生しづらいことが分かるだけで、家具に使用されている接着剤からホルムアルデヒドが発生する可能性があることは、事前に把握しておきましょう。
*住宅選びに関して
ホルムアルデヒドの影響を受けづらい家具の選び方に加えて、住宅の選び方についても解説します。
ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因になったり、呼吸器官に悪影響を与えたりと、非常に危険な化学物質であることはすでに認知されています。
そのため、2003年の建築基準法の改正では、ホルムアルデヒドを発散する建材の使用の禁止と、換気システムの設置の導入が義務付けられました。
つまり、「2003年以降に建てられた住宅であるかどうか」という基準を持つことで、ホルムアルデヒドが少ない家なのかどうかをざっくりと見分けられます。
ただ、仮に2003年以降に建てられた住宅であったとしても、換気システムのメンテナンスを怠っていると、ホルムアルデヒドが充満してしまう可能性はあります。
そのため、入居後はしっかりと換気システムのメンテナンスを施すことが大切です。
また、ホルムアルデヒドを測定してもらえるサービスもあります。
新築の住宅を購入する場合や、注文住宅を建築する場合は、住宅性能表示制度を利用して、住宅の完成時にホルムアルデヒドを測定してもらえる場合があります。
住宅性能表示制度とは、シックハウス対策の程度を表示するものです。
具体的には、建材の選定と換気対策の2つの観点からシックハウス対策の程度を測り、そこに加えて濃度測定も行えます。
そもそも新築の独特な匂いの発生源として、「床下のカビや雑菌」と「ホルムアルデヒド」の2つをご紹介しました。
仮に、匂いの発生源が「床下のカビや雑菌」であるにもかかわらず、「ホルムアルデヒド」を除去する対策を講じても意味がありません。
そのため、住宅性能表示制度を利用し、「そもそも住宅にどれくらいのホルムアルデヒドがあるのか」を把握しておくことはおすすめです。
□比較的手軽にできる匂い対策
ホルムアルデヒドは、一種の気体であるため、事前に対処することが難しいという側面もあります。
そこで、ホルムアルデヒドの被害に遭った際に、手軽にできる匂い対策についてご紹介します。
*消臭剤
消臭剤を使用することで、当然ながら独特な匂いを軽減することが可能です。
さらに、ホルムアルデヒドを除去するための消臭剤が売られていることもあるため、そちらを使用することで、より効果を期待できるでしょう。
しかし、新築の独特な匂いの根本的な原因が分からない状態で、消臭剤を使用したとしても一時的な療法に過ぎない場合があります。
例えば、新築の独特な匂いの発生源が床下に繁殖しているカビや雑菌である場合、室内で消臭剤を使用したとしても、床下のカビや雑菌が減るわけではないため、根本的な解決策とはなっていません。
そのため、前提として、匂いの原因を特定しておくことが大切であるため、上記でご紹介した住宅性能表示制度を利用し、ホルムアルデヒドがどれくらい充満しているかを把握することがおすすめです。
*換気
換気をなるべく続けることが、匂い対策としては非常に効果的です。
特に、24時間換気システムを利用することがおすすめです。
最近の住宅では、24時間換気システムが導入されていることが多いため、そのシステムがしっかりと稼働しているかどうかを確認することも大切です。
また、24時間換気システムを利用することで、室内の空気を半分以上も入れ替えられますが、それでも匂いが気になる場合は、窓を開けておくことがおすすめです。
□放置してできる匂い対策
室内の匂いが気になる場合、消臭剤を使用することはおすすめではありますが、できればより楽に匂い対策をしたいですよね。
そこで、ここでは放置しながらできる匂い対策についてご紹介します。
*各部屋のクローゼットや下駄箱を開放する
やはり匂い対策として最も効果が高いのは、「換気を徹底すること」です。
また、換気の効果を最大化させるために、クローゼットやドア、下駄箱などをできるだけ開放しておくことがおすすめです。
できるだけ多くの場所を開放しておくことで、換気の効果は高まり、新築の独特な匂いは徐々に消えていくでしょう。
*給気口を開ける
給気口とは、壁や天井に備え付けられているもので、換気を促す役割があり、室内に化学物質や匂いがこもってしまうのを防いでくれます。
当然ながら、給気口を開けることで換気は進むのですが、ここでのポイントは、「できるだけ給気口を全開にし、長時間開いたままの状態で放置すること」です。
「換気を定期的にしましょう」という言葉だけを聞くと、給気口を開けたり閉めたりする作業を思い浮かべるかもしれません。
しかし、室内の空気は一日中入れ替わっている状態が望ましいため、給気口はできるだけずっと開けたままの状態にしておきましょう。
また、給気口の内部に付いているフィルターの掃除は定期的に行うことが大切です。
仮に、フィルターの掃除をせずに使い続けると、換気の効率が下がってしまう可能性があります。
給気口のフィルターには、外気に含まれる花粉や黄砂などを室内に入れないようにするという役割もあるため、定期的に掃除をすることが大切です。
□まとめ
今回は、「新築の匂いはいつまで続くのか」と、匂い対策についてご紹介しました。
新築の匂いの発生源は、床下のカビや雑菌とホルムアルデヒドである場合が多いです。
いずれの場合も、換気をしっかりと行うことが効果的です。
「新築の匂いがいつまで続くのか」という疑問に対する明確な回答はありませんが、24時間換気をし続けることで、自然と嫌な匂いは消えていくでしょう。
そのため、「いかに換気の効率を上げるか」という視点を持つことが大切であり、そのために24時間換気システムを利用することや、給気口の掃除を定期的にすることがおすすめです。