みなさんは「耐力壁」という言葉をご存知でしょうか?
これから家づくりをされる方の中には、耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
今回は「耐力壁」ってそもそもどんな壁?どんな種類があるの?
ということに重点を置いて見ていきましょう!
◇そもそも「耐力壁」って?
「耐力壁」と書いて「たいりょくへき」「たいりょくかべ」と読みます。
この耐力壁とはいったいどのようなものなのでしょうか?
木造住宅など建物には、さまざまな方向から「力」がかかっています。
建物そのものの重さが荷重となる垂直方向からの力や横からかかる強い力。
建物は真上からの重さには柱で支えることができますが、横からかかる強い力(水平荷重)にはとても弱いのです。
その荷重の代表的なものが地震の横揺れや台風などの強い横風です。
そこでこれらの荷重に抵抗するために筋交いを入れる
または構造用合板等を張った壁を設置するよう建築基準法で義務付けられています。
これが「耐力壁」です。
耐力壁とほぼ同じ意味の用語として「耐震壁」があります。
これは一般的に鉄筋コンクリート造(RC造)の場合に使う用語です。
また、構造的に固定されていない壁については非耐力壁といいます。
さらに木造建築物においては、耐力壁に似ていますが
固定方法が不完全で抵抗力の低い壁(間仕切り壁など)を準耐力壁といいます。
◇木造住宅には耐力壁が不可欠?
木造住宅は鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物に比べて、横揺れに弱いという特徴があります。
その理由として、床や壁、天井などの接合部分の弱さが挙げられます。
木造住宅は床・壁・天井などの接合部分が、鉄筋コンクリート造や鉄骨造ほど強くは結合されていません。
この部分の結合力が弱いと、ここを中心に「回転しようとする力」が働くことになります。
結合力が弱いほど回転しようとする力は強まることになるため、地震によるダメージが大きくなってしまいます。
これを解決するために考案されたのが「耐力壁」です。
この耐力壁を設置することで、
木造住宅でも鉄筋コンクリート造や鉄骨造に劣らないほどの横揺れへの強さを実現することができるのです。
したがって、耐力壁は木造住宅の耐震性には必要不可欠であると言えるでしょう。
◇耐力壁の量
耐力壁がどのくらいの量必要なのかは、
「壁量(へきりょう)計算」と「構造計算」によって求めることができます。
この計算式は、「建物が地震や風圧などによって、どのようにねじれたり、どのような力が加わるのか」を導き出すためのものです。
一般的に2階建てまでの木造住宅には、「壁量計算」が使われます。
一方で鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの建物には、より細かい「構造計算」をすることが義務付けられています。
この計算の結果によって、建物を強くするために必要な壁量を割り出すことができます。
一般的に面積・階数が大きい建物や、重い建物ほど多くの耐力壁の量が必要になります。
◇耐力壁に関わる3つの利率
私たちが住んでいる家には、
・建物自体の重さによる力
・重力など垂直方向に働く力
・地震による縦揺れや横揺れの力
・風等の建物の外からかかる力
などさまざまな力がかかっています。
それぞれの力が作用する中心点のバランスがずれるということは、
揺れを増幅させることに繋がってしまいます。
このバランスを取るためには、耐力壁は建物の片側に偏ることなくバランスよく配置されることが非常に重要です。
耐力壁の必要量やバランスを決めるためには3つの利率が関わってきます。
①壁倍率(かべばいりつ)
壁倍率は壁の強さを表す利率で、建物全体の強さを知るための計算式に必要です。
耐力壁の長さ × 壁倍率
で建物の強さを求めることができます。
壁倍率は、「この木材のサイズならこの倍率」「筋交いがあるかないかによってこの倍率」
というようにあらかじめ決まっているのです。
例えば木造の軸組工法の場合、壁倍率は0.1~5.0の間の数値で決められています。
壁倍率が高いほど、横揺れに強いという指標になります。
②偏心率(へんしんりつ)
偏心率は建物のねじれの大きさを表す利率です。特徴としては以下のようになります。
・偏心率が小さい ⇒ 重心と剛心の距離が短く、ねじれが少ない
・偏心率が大きい ⇒ 重心と剛心の距離が長く、ねじれが多い
先ほど触れたように、地震が発生した際には建物にさまざまな力が加わります。
そしてそれぞれどこを中心に力が作用するかは違ってきます。
地震による力が働く中心点は「重心」、
建物が回転しようとする力が働く中心点は「剛心」といいます。
これらはそれぞれの家ごとに場所が異なります。
重心と剛心の距離が長い家ほど建物には大きくねじれる力が加わってしまい、ダメージが大きくなってしまうのです。
一般的には偏心率は0.15以下に保つよう定められています。
③剛性率(ごうせいりつ)
剛性率とは、2階建て以上の建物のバランスを表す利率です。
剛性率の数値からは、
・剛性率が高い ⇒ 変形に強い
・剛性率が低い ⇒ 変形に弱い
ということがわかります。
バランスが良い = 剛性率が高い
ほど建物は強くなります。
例えば4階建てのビルで1,2階、4階にはたくさん壁があったとします。
その場合壁の少ない3階は変形に弱く、他の階は変形に強くなるので、
地震が発生した際には3階を中心にねじれながら揺れることになります。
つまり、各階の変形に対する強さがバラバラであるほど建物の縦方向のバランスは悪くなってしまいます。
剛性率は、壁の量や配置を導くために大切な利率なのです。
◇耐力壁の種類
耐力壁の施工方法としては「筋交い」「耐力面材」の2つがあります。
これらの方法について詳しく見ていきましょう。
◆筋交い(軸組工法)
筋交いとは、柱と柱の間に斜めに入れて建物を補強する部材です。
筋交いに使用される部材には「30×90筋交い」と「45×90筋交い」の2種類のサイズがあります。
さらに部材の組み方によって筋交いの壁は、
①2本の柱の間に1本の木材を渡した「片筋交い」 壁倍率 1.5~2.0
②2本の柱をX状に渡した「たすき掛け」 壁倍率 4.0
の2種類に分かれます。
これらを組み合わせることで4種類の壁倍率の耐力壁をつくることができます。
和風洋風を問わず、さまざまな建物の耐久力を向上させることができますが、
筋交いが入った壁には窓やドアなどの開口部を設置できないというデメリットがあります。
また、筋交いが入っていると断熱材を設置しづらいこと、補強金物を施工する手間がかかることにも注意が必要です。
【筋交いの向き】
筋交いが全て同じ方向を向いていると、片側の力には対抗できても、
反対側からの力には対抗力がなくなってしまいます。
ですので筋交いの向きは交互、ハの字もしくは逆ハの字にしておく必要があります。
基本的には1階はハの字で配置、2階は逆ハの字に配置するなど階層ごとに向きを変えていきます。
◆耐力面材(ツーバイフォー工法)
耐力面材にはさまざまな種類があり、性能の違う耐力面材を組み合わせて設置することも可能です。
また、壁倍率においては耐力面材によって変化し、その厚みによっても異なる点が特徴です。
例えば、厚み7.5ミリメートルの構造用合板であれば、壁倍率は2.5となります。
耐力面材のメリットとしては、断熱材をまんべんなく内部に入れることができる点と、
壁全体で建物を支えることができる点です。
そのため、建物の外部に耐力面材を使用することで、断熱性能の安定・住宅の強化に繋がるでしょう。
2つの施工方法についてみてきましたが、結論からしてどちらの方法でもメリット・デメリットはあります。
重要なのは、「長期にわたって内部結露をさせない構造であること」です。
内部結露してしまうと、耐力面材はブヨブヨし、筋交いは根元から腐ってしまいます。
◇まとめ
いかがでしたか?
今回は耐力壁について詳しく見てきました。
昨今、日本各地では毎年のように自然災害が発生しています。
自然災害が発生しても、住宅の被害が小さくて済むようなおうちづくりをするために、
壁についても比較・検討してみてはいかがでしょうか?
アイリスホームでは、他にも断熱性に優れた仕様や、住む家族に優しい家づくりをしています。
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