注文住宅を検討する際に「ZEH」というワードを耳にしたことがある方も多いですよね。
「省エネ性能の高い家」という何となくのイメージがあると思いますが、詳しい内容はわからないという意見も少なくありません。
また、次のような疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。
- ZEHにするとどんなメリットがあるの?
- どのくらいの人がZEH基準の家を建てているの?
- ZEHにするデメリットやリスクはないの?
今回はこのような疑問を解消しつつ、ZEHの普及率について解説します。
ZEH住宅とは?
ZEHとは「ゼロ・エネルギー・ハウス」のことを指します。
その名の通り、年間の一次消費エネルギー量をおおむねゼロ以下にする住宅のことです。
また、寒冷地や低日射地域、都市部など創エネが十分にできない地域では、条件を少し緩くした「Nearly ZEH」や「ZEH Oriented」などもあります。
住宅に関する一時消費エネルギーとは次のようなことです。
- 空調
- 給湯
- 照明
- 換気
断熱性や省エネルギー性の高い家を建て、これらのエネルギー消費をなるべく抑えることが第一の条件。
そして、自宅で電気などのエネルギーを創り出すことが第二の条件です。
ZEH住宅を建てることで環境に配慮できるのはもちろん、暮らす人にとってもさまざまなメリットがあります。
政府はこれまでにZEHの普及に対して、次のような目標を掲げています。
- 住宅については、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す
- 2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上をZEHにすることを目指す
- 2030年までに新築住宅・建築物について平均で ZEH・ZEB 相当となることを目指す
<参考ページ>
現在は2030年を目途に、ZEH基準を満たす建物の普及を進めています。
ZEHの普及率
現在のZEH仕様の住宅の普及率はどのくらいなのでしょうか。
一般社団法人 環境共創イニシアチブでは、2021度に登録ビルダーから実績報告を受けたZEHシリーズ受託数を公表しています。
ZEHシリーズとは、「ZEH」・「Nearly ZEH」・「ZEH Oriented」の3種類のいずれかを満たした建物のことです。
- 全国平均の普及率:25.19%
- 福島県の普及率:24.10%
▷参考資料:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業調査発表会| 一般社団法人 環境共創イニシアチブ
いまだに約1/4の注文住宅しかZEH仕様になっていないのが現状です。
こちらは注文住宅の新築一戸建てのデータで、建売住宅を含めるとさらに普及率は下がります。
一方で、ハウスメーカー絞って見てみると、ZEH普及率が50%を上回っている会社も多くあります。
▷参考資料:主要13社の21年度ZEH普及率、上位4社は9割に=比率とともに『品質』も向上 | 住宅産業新聞
ハウスメーカー・ビルダー・工務店の間で、ZEHに対する取り組みに大きな差がある点も特徴です。
ZEH住宅で暮らすメリット
ZEH仕様の住宅で暮らすメリットを紹介します。
メリット① 省エネ性能の高い快適な住まいになる
ZEHは省エネルギー性の高い仕様を採用して建てる住宅です。
そのため、断熱性・気密性が向上した快適な住まいを建てることができます。
冷暖房器具の効きが良く、家全体を冷暖房しやすい家なら住み心地が良いですよね。
また、各空間を効率的に暖められるため、冬場のヒートショックを防ぐなど健康面にも良い影響を及ぼします。
メリット② 太陽光発電システムによって光熱費を抑えられる
ZEH住宅は、エネルギーを創る設備を採用することが必須条件です。
太陽光発電システムを導入する家庭が多いため、自宅で使う電気を創りながら生活を送ることができます。
昼間は電気を購入しなくても、自宅で発電した電気を使用することが可能です。
夜に使用する電気だけを購入するため、光熱費を抑えることができるでしょう。
メリット③ 天災などによる停電時でも電気が使える
太陽光発電システムを採用すれば、停電時でも発電した電気を使用することができます。
天災等で長時間の停電が起きたとき、自宅でのライフラインが確保できないという住まいも少なくありません。
ZEH住宅なら少ないエネルギー消費の住まいで、自家発電している間は自給自足の生活が可能です。
蓄電池などを併せて導入することで、夜間も電気が使える環境を整えることができるでしょう。
メリット④ 条件を満たせば補助金を受け取れる
ZEH仕様の住宅は、補助金を受けられるケースがあります。
令和5年度も補助金の交付が予定されていて、補助額は55~140万円/戸です。
建物の性能によって、補助額が異なりますので補助金申請をする際には住宅会社と綿密な打ち合わせを行いましょう。
▷参考資料:令和5年度 3省連携事業 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス推進に向けた取り組み|経済産業省・国土交通省・環境省
メリット⑤ 建物の評価がつくので売却しやすいケースも
ZEH基準の住宅を建て申請を行うと、BELSの評価を受けることができます。
BELSとは、一般社団法人住宅性能評価・表示協会が定めた建物の省エネ性を星の数で評価するものです。
ZEH基準を満たしてBELSを取得できれば、第三者機関からの評価を得た建物ということになるため、資産価値が上がります。
結果的に、売却する際のプラス材料になることもありますので覚えておきましょう。
なぜZEHはなかなか普及しない?理由を解説
ZEHはメリットが多いですが、現段階では中々普及していません。
考えられる理由を解説します。
理由① 初期費用がかかる
ZEH住宅を建てるためには、省エネ性能の高い建物を建てる必要があります。
断熱材やサッシの性能を高め、高性能の設備や太陽光発電システムなどの導入が必要です。
住宅会社によっては、ZEH仕様の建物を建てようとすると数百万円の追加費用がかかることも。
それだったら、建物の大きさやデザインなど自分達のこだわりたい箇所にお金をかけたいと考える方も少なくありません。
ZEH住宅を建てるなら事前に予算を確保しておくか、標準仕様でZEH基準を満たした住宅を建てている会社を探すことをおすすめします。
理由② 太陽光発電システムの売電価格が落ちている
ZEH住宅の条件である「創エネルギー」を満たすために、多くの場合は太陽光発電システムが採用されます。
十年ほど前までは、太陽光発電システムを導入すると余剰発電によって、多くの売電収入が見込まれていました。
しかし、年々売電価格は低下しています。
高いお金をかけて太陽光発電システムを導入しても、搭載容量によっては売電収入で初期費用の回収が行えないケースも。
そのため、近年では売電収入を見込むよりも、自宅の電気を創り出すための設備へと認識が変わってきています。
太陽光発電システムで利益を得たいという考えの方には、あまり魅力的に感じないかもしれません。
理由③ 天候によって発電量にムラがある
太陽光発電システムは天候によって発電量にムラがある点もデメリットです。
雨や雪、くもりの日が多いエリアだと予想していたような発電を行えず、電気を購入する量が多くなってしまします。
なるべく日当たりを確保できる屋根に多くの太陽光を乗せるなどの工夫が必要です。
また、太陽光のメーカーによってくもりの日の発電効率なども異なりますので、チェックしてから選ぶことをおすすめします。
理由④ ZEH住宅を建てても補助金が貰えないケースも
ZEH住宅を建てると補助金が貰えるとお伝えしましたが、すべての方が受け取れるわけではありません。
補助金の申請や建物の完成時期などに細かなスケジュールがあるため、それを満たしていないと申し込むことがありません。
また、予算に達すると申請期限前でも補助金制度が打ち切りになることもあります。
補助金を貰いたいなら住宅会社と早めに打合せを進め、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。
【おわりに】
ZEH基準を満たした家は、暮らしやすく光熱費などを抑えた暮らしを送ることができます。
また、自宅でエネルギーを創り出すことができるため、環境に優しい点も大きなメリットです。
しかし、日本全体で見るとまだ普及率はそこまで高くありません。
これから注文住宅を建てようと考えている方は、ZEHのメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、採用するか検討してみてくださいね。
アイリスホームでは、お客様の暮らしに寄り添った家づくりをしています。
ZEH住宅に関する質問なども受け付けておりますので、ぜひお気軽にご相談くださいね。
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