新たな住宅での生活を想像していると、心が躍るような感覚になりませんか。
こだわりの詰まったキッチンで料理をしているところや、おしゃれなリビングでくつろいでいるところを想像していると、早く新たな住宅で生活したくなるものです。
ただ、住宅での理想的な生活スタイルにだけ目を向けていると少々危険です。
それは、理想だけを見ていると、住宅でトラブルが発生した場合に大きなショックを受けてしまう可能性があるからです。
そこで、今回は住宅トラブルの事例や対処法について解説します。
事前に住宅で起こり得るトラブルや対処法を把握しておくことで、確実に理想的な生活を手に入れましょう。
□住宅トラブルは本当に発生するものなのか
「住宅トラブルなんて本当に発生するものなのか」という疑問をお持ちかもしれませんが、住宅トラブルは実際に発生することがあります。
特に、新築注文住宅を中心に発生している傾向にあります。
公益財団法人が住宅リフォームや紛争処理について行っている調査によると、実際に、2020年3月31日までに終結した紛争処理事件1525件の66%が一戸建ての住宅で起きたトラブルであるという具体的なデータを算出しています。
また、トラブルの7割以上が、住宅を引き渡されてから3年未満に発生していることが分かっています。
□住宅トラブルの事例について
では、具体的にどのようなトラブルが発生しているのでしょうか。
以下では、具体的な住宅トラブルの事例についてご紹介します。
*基礎のひび割れ
建物の基礎部分にはコンクリートが使用されていることが多いですが、コンクリートの適切な管理ができていないと、ひび割れが生じることがあります。
もしひび割れを放置していると、ひび割れは促進していき、建物全体の耐久性を大きく低下させる危険性があります。
*壁のひび割れ
壁にひび割れが生じている場合も、放置していると非常に危険です。
例えば、外壁にひび割れが生じている事例を見ていきましょう。
外壁とは、紫外線や太陽光などの外的要因から建物全体を保護するという役割を担っています。
しかし、もし外壁にひび割れが生じてしまうと、建物の構造部分が直に外的要因の影響を受けてしまいます。
例えば、ひび割れ部分から雨水が侵入してしまうと建物の構造体部分が腐食し、それを放置していると、最悪の場合、建て替えが必要になるほど建物の劣化が進んでしまいます。
*地盤沈下
住宅を建てる前には、地盤調査が行われることがあり、地盤調査の結果によって、地盤改良が必要であるか不要であるか、そもそもその場所に住宅を建てられるかどうかがわかります。
しかし、仮に地盤の状態を把握せずに住宅を建ててしまうと、地盤が沈下してしまい、建物全体が傾く危険性があります。
また、地盤が弱い状態で地震が来ると建物が崩壊してしまう可能性もあります。
□屋根におけるトラブルの事例について
住宅の外観における欠陥は、目に見えやすいですが、屋根におけるトラブルは直接見ることが難しいため、注意が必要です。
屋根におけるトラブルとして、以下のものが挙げられます。
1.屋根の損傷と変形
2.屋根材のひび割れと欠損
3.屋根材の剥がれ、ずれ、浮き
屋根は、外壁と比べて直接太陽光や紫外線の影響を受けやすいという特徴があるため、上記のようなトラブルが生じている場合、すぐにでも対応することが必要です。
仮に、屋根におけるトラブルを放置していると、雨漏りにつながり、雨漏りが建物全体の腐食につながる可能性があります。
そのため、屋根のトラブルは見えづらいですが、もしトラブルが発生している場合は非常に危険であるため、トラブルが発生していないかどうかを調べておくことが大切です。
□住宅でのトラブルを未然に防ぐためのポイントについて
ここまで、住宅におけるトラブルの危険性と、対処する必要性について解説してきましたが、そもそも住宅のトラブルを未然に防げることが最も理想的です。
以下では、注文住宅におけるトラブルを未然に防ぐためのポイントについてご紹介します。
1.家づくりのイメージを明確にする
注文住宅におけるトラブルとしてよくあるものが、「理想と実際の仕上がりにギャップがあること」です。
理想の家づくりをする際に最も大切なことは、「どんな家に住みたいのか」を明確にイメージし、そのイメージを解像度高く担当者に伝えることです。
つまり、担当者とのイメージの共有ができているかどうかで、理想と実際の仕上がりにギャップが生まれるかどうかが決まります。
そのため、打ち合わせの段階から、トラブルを防ぐために理想的な住宅像に関するイメージを明確にしておきましょう。
2.住宅に関する知識を事前に集めておく
住宅に限った話ではありませんが、知識の有無がトラブルにつながることはよくあります。
例えば、最初にお伝えした外壁や屋根におけるトラブルが最悪の場合、建物全体の耐久性の低下につながるという知識がなければ、仮に外壁や屋根にトラブルがあっても見過ごしていたかもしれません。
そのように、今頭の中にある知識の中からしか物事の判断ができないため、家づくりをするのであれば家づくりに関する知識が多ければ多いほど安心でしょう。
特に、住宅に関連する専門知識もありますので、事前に調べておくことがおすすめです。
3.内覧をする際に、住宅にトラブルがないか入念に確認する
内覧をする際に、住宅ですでにトラブルが発生していないかどうかを入念に確認することがおすすめです。
最初にお伝えした通り、住宅におけるトラブルのほとんどは、新築の注文住宅において発生しています。
また、そのうちの7割以上が引き渡しから3年未満にトラブルが見つかっています。
つまり、住宅におけるトラブルの多くは、引き渡し時に発生している可能性があるということです。
そのため、内覧をする際にトラブルがないかを徹底的に確認し、もし見つかった場合は引っ越し前に手直しの依頼をしておきましょう。
また、手直しが必要なレベルのトラブルでなかったとしても、念のため写真で記録を残しておくことがおすすめです。
4.担当者とのコミュニケーションを活発にとる
家づくりをする際は、住宅の理想像に関するイメージを解像度高く担当者と共有することが大切です。
そのためには、担当者とのコミュニケーションが必要です。
「このことくらい共有しなくても大丈夫だろう」というちょっとした油断が、大きな後悔につながる可能性もあるため、細かい情報も徹底的に共有することを心がけましょう。
5.一括で先払いしない
請負代金を一括で先払いしないことも、未然にトラブルを防ぐ方法として挙げられます。
そもそも請負契約は、分割して支払うことが一般的であり、仮に一括払いをした場合、何かあった際にお金が戻ってこないという危険性があります。
そのため、分割払いをする方が無難かもしれません。
□住宅トラブルが発生した場合の対処法について
住宅トラブルが見つかった場合は、できるだけ早めの対応が必要です。
ただ、実際にどのように対処すべきか分からないという方も多いかもしれません。
そこで、今回は住宅トラブルが発生した場合の対処法についてご紹介します。
*専門家への相談
まずは専門家に相談してみて、対処法を聞いてみることがおすすめです。
最初は、施工会社に相談して、アフターサービスをしてくれないかどうかを確認すると良いでしょう。
仮に、施工会社が何の対応もしてくれないと分かれば、第三者に相談することがおすすめです。
*建物調査をする
施工会社が何の対応もしてくれなかった場合、法律に基づいて責任を追及するという対処法があります。
そのためには、住宅の欠陥部分を証拠として明らかにし、それに基づいて責任を追及する必要があります。
その証拠を明らかにするために、建物調査を実施することがおすすめです。
*瑕疵担保責任を追及する
建物調査で欠陥が見つかった場合は、売り主に対して責任を追及できます。
それは、売り主には、住宅に瑕疵がある場合は事前にそれを買い主に伝えないといけないという瑕疵担保責任があるからです。
□トラブルが起こった際の相談先について
トラブルが起こった際の相談先はいくつかありますが、以下では相談先と特徴についてご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
1.公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
住宅の欠陥や取引先とのトラブルなどを含む住宅に関連するトラブルに関する幅広い相談を受け付けている専門窓口です。
2.国民生活センター
国民生活センターとは、消費者ホットラインとも呼ばれており、消費に関する相談や苦情を受け付けている窓口です。
3.法テラス
法テラスとは、法律に関するトラブルについて無料で相談できる窓口です。
上記でご紹介した瑕疵担保責任を含む法律的な専門知識がないと、住宅トラブルを解決できない場合があります。
ただ、法律的な問題を解決するためにいきなり弁護士に依頼することに対して少し抵抗感がある場合は、まず法テラスに相談してみると良いでしょう。
4.首都圏不動産公正取引協議会
こちらは、不動産の広告表示に関する決まりを設けている機関です。
そのため、不動産の広告表示に関するトラブルに関しては、首都圏不動産公正取引協議会に相談すると良いでしょう。
ただし、一般的な住居トラブルに関する相談は受け付けていないことに注意が必要です。
□まとめ
今回は、住宅トラブルの事例と対処法について解説しました。
住宅では、屋根や外壁、基礎部分など、様々な箇所においてトラブルが発生してしまう可能性があります。
特に、新築の注文住宅においてトラブルが発生している事例が多いです。
そのため、トラブルを未然に防ぐためにイメージを徹底的に共有すること、引渡し前に建物調査を行うこと、先払いで一括払いをしないことなどが大切です。
また、仮にトラブルが発生した場合は、まず施工会社に相談し、対応してくれない場合は瑕疵担保責任を追及するという選択肢があります。
当然ながら、住宅トラブルが発生しないことが理想的ですが、仮にトラブルが発生した場合に備えて、事前にトラブルに関する知識を集めておくことがおすすめです。