平屋の間取りにおいて、近年では廊下をなくした間取りが人気を集めています。
廊下をなくすことで、無駄なスペースが省け、暮らしやすくなると考える方も多いでしょう。
しかし、廊下を作る目的・廊下をなくす理由を正しく理解しないで間取りを決めると後悔する可能性があります。
そこで今回は、平屋の間取りで廊下のある場合とない場合のメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。
また、廊下を設ける際のポイントと、廊下を設けない際の注意点も解説するのでぜひ参考にしてください。
□廊下がある平屋の間取りのメリットをご紹介!
廊下がある平屋にはいくつかのメリットがあります。
*共有空間と私的空間をつなぐ役割がある
住宅の構造上、基本的にリビングのような共有空間を通って、個室のような私的空間へと移動します。
そのため、廊下がない平屋の場合は、私的空間へと移動するためには必ずリビングを通る必要が出てきてしまいます。
これは、廊下のない間取りのため共有空間と私的空間が隣接してしまっていることが理由です。
このような場合では、自室へ移動するためにリビングを経由しなければならないため、リビングが騒がしい空間になってしまう可能性があります。
一方で、廊下がある平屋の場合は、リビングを通らなくても私的空間へと移動ができます。
そのため、外出や帰宅の際に、リビングでくつろいでいる家族の邪魔にならなかったり、客人と顔を合わせることがなかったりといったメリットがあります。
*音の緩衝材になる
例えば、リビングでは、テレビの音や料理の音、話し声やトイレの音など、さまざまな音が発生します。
もし、廊下がないと、私的空間の隣がリビングになってしまうため、これらの音がうるさいと感じてしまうでしょう。
廊下がある平屋の場合は、廊下が音の緩衝材として働くので、音漏れを小さくできます。
*臭いを遮る
廊下がない平屋の場合は、料理やトイレの臭いが私的空間へと侵入してしまいます。
そこで、廊下を設けることで、音と同じように臭いが充満することも防いでくれます。
□廊下がある平屋の間取りのデメリットとは?
平屋の間取りでは、廊下があることで生じるデメリットがいくつかあります。
*無駄なスペースであること
廊下は考え方次第では無駄なスペースとも捉えられます。
その理由は、廊下本来の目的は通路であるからです。
そのため、多くの場合、廊下に大きなスペースを割くことはなく、荷物を置いたり、インテリアを飾ったりできないのです。
裏を返せば、廊下を広くして、収納や多目的スペースなどを設けることで、便利な空間に仕上げられます。
*昼間でも暗いこと
廊下には、両側に部屋が隣接している場合がほとんどなので、窓を設置できません。
そのため、採光対策をしていなければ昼間でも暗い空間になってしまいます。
照明を取り付ければ解決できる問題ではありますが、「自然光が良い」というこだわりをお持ちの方は注意が必要です。
*引っ越しや模様替えの際に不便なこと
廊下がある場合は、家具や家電を運び出す際に不便になります。
特に、タンスやソファなどの長さのあるものを運ぶ場合は、キズがついてしまう可能性があるので気を付けましょう。
□廊下がない平屋の間取りのメリットをご紹介!
ここまでは、廊下がある平屋の間取りについて解説してきましたが、廊下なしの平屋にも魅力的なメリットがあります。
*コンパクトな平屋を作れる
廊下がない平屋では、廊下分の面積がなくなるため、建物全体をコンパクトにできます。
そのため、狭い土地での建築も可能になります。
また、床面積が少なく済むので、コスト削減にもつながり、費用面にもメリットがあります。
*他の空間を広くできる
廊下をなくすことで、その分他の空間にスペースを割けるようになります。
例えば、リビングを大きくしたり、庭や駐車スペースを広くしたりできます。
また、廊下をなくすことで、壁や扉が少なくなるので、視覚的にも空間を広く見せられるようになります。
*効率の良い動線が作れる
廊下がない間取りでは、空間同士が直接つながるため、動線がスッキリするメリットがあります。
例えば、以下のような間取りが挙げられます。
・キッチンと洗面所をつないだ「家事動線」
・脱衣所とランドリールームとクローゼットをつないだ「洗濯動線」
・玄関と洗面所をつないだ「おかえり動線」
*コミュニケーションが取りやすくなる
廊下がないことにより、部屋ごとのつながりが強くなるので、コミュニケーションが取りやすくなります。
LDKを中心とした動線の間取りを作れば、リビングに居ながらも、各部屋にいる家族に声が届くようになるので、お互いの存在を感じながら生活が送れます。
*日当たりや風通しが良くなる
廊下のない平屋の場合は、日当たりや風通しが良くなります。
その理由は、廊下をなくすことで、仕切りになってしまう壁を少なくできるからです。
空間同士がつながることで、奥の部屋まで光が届き、窓を開けておけば風の通り道もしっかり確保できます。
□廊下がない平屋の間取りのデメリットとは?
廊下がない平屋には魅力的なメリットがありますが、その反面デメリットもいくつか存在します。
*プライバシー保護が2階建て住宅と比較して弱くなる
廊下がない間取りの場合、各部屋へ移動するためにはリビングを経由する必要があります。
そのため、家族同士や来客時のプライバシー保護が弱くなるデメリットになります。
例えば、リビングに来客がいる場合、部屋の出入りやトイレに行こうとする際には気を遣ってしまうでしょう。
廊下をなくす分、リビングの形や間取りを工夫してプライバシー対策を取ることが大切です。
*音や臭いが広がりやすい
廊下がある平屋のメリットでも述べたように、廊下は音や臭いが広がるのを防ぐ緩衝材としての役割も持っています。
しかし、廊下がない平屋では部屋同士がつながってしまうため、音や臭いが広がりやすくなってしまうのです。
対策としては、キッチンの換気性能を高めたり、リビングと寝室を離して配置したりすることが有効です。
*空調のパワーが必要になる
廊下がない平屋では、空調を遮るものがなく、ワンフロアで暮らせるため、家全体の温度差を小さくできます。
しかし、家全体に空調を行き渡らせようとすると、その分大きいパワーの空調が必要になります。
例えば、エアコンの場合は、12畳と20畳では倍以上の費用がかかることも珍しくないので、初期費用が高めになることには注意が必要です。
□廊下なしの平屋を建てる前に!失敗しないためのチェックポイントを解説!
廊下なしの平屋には、メリットだけでなくデメリットもあるため、廊下なしで建築する際は以下のポイントをチェックすることが大事です。
*住まいにゆとりが感じられない
廊下を無駄なスペースだと思い、廊下がない間取りにしようとお考えの方も多いと思います。
しかし、廊下がなくなったことで、住まいにゆとりが生まれず、窮屈さを感じる可能性があります。
ライフスタイルによっては、廊下が必要になる場合もあるので、実際の暮らしをイメージしながら廊下の有無を検討すると良いでしょう。
*生活音が気になってしまう
廊下がない場合は、部屋同士がつながるため、トイレがリビングや客間の隣にくるというケースもあります。
そうなると、トイレの音が隣の部屋まで丸聞こえになってしまうため、後悔してしまうでしょう。
トイレや浴室など、生活音が気になる部屋はリビングや寝室から遠ざけたり、家具やクローゼットなどを配置したりして、音が伝わりづらい間取りになるように意識することが大切です。
*外からの目線が気になってしまう
廊下をなくした分、1つの扉を開けただけでもさまざまなものが丸見えになってしまう可能性があります。
例えば、荷物を受け取るために玄関を開けたら、配達員さんにリビングまで見えてしまうということもあります。
セキュリティ面から見ても外から室内が見えてしまうのは非常に危険なので、L字型の玄関にするというふうに間取りを工夫することが大切です。
□平屋で廊下を設ける際は機能的に!間取りのポイントをご紹介!
平屋で廊下を設ける際は、通路としての廊下だけではなく、プラスアルファを意識して機能的に利用することがポイントです。
以下より、廊下を機能的にするポイントを紹介します。
*収納スペースとして活用する
廊下を機能的にするためには、収納スペースとして利用することが有効です。
しかし、ただ物を置くだけでは邪魔になってしまう可能性があるので、収納方法を工夫することが大事です。
例えば、収納棚を取り付ければ、コンパクトな収納スペースができます。
また、廊下の収納を「見せる収納」にすることで、収納不足を解消しつつ、おしゃれな雰囲気を演出できます。
*動線を意識する
廊下を無駄なスペースにしないためには、動線を意識して間取りを考えるようにしましょう。
効率の良い動線にするためには、動線の長さにこだわって日常的に使用する動線はできる限り短くすることがポイントです。
また、動線が重なる部分では、混雑を避けるためにも廊下の広さを確認すると良いでしょう。
□まとめ
今回は、平屋の間取りについて廊下のアリ・ナシのメリットとデメリットを紹介しました。
廊下には通路としての役割だけではなく、音や臭いが漏れるのを防ぐ緩衝材としての役割もあるため、廊下をなくすのが良いとは一概には言えません。
ただ、廊下がない間取りにも、他の空間を広くできたり、日当たりや風通しが良くなったりするなどのメリットがあります。
そのため、平屋の間取りを考える際は、ライフスタイルを考慮して廊下の有無を判断することが大切です。
家づくりで平屋を建てようとお考えの方はお気軽に当社までご相談ください。