スタッフブログSTAFF BLOG
HOME > ブログ > スタッフブログ > 【コロナウイルスとこれからの社会・住宅をどう捉えているか?】

【コロナウイルスとこれからの社会・住宅をどう捉えているか?】

社会の変様のさなか。

皆さんこんにちは。緊急事態宣言解除から1ヶ月あまり立ちました。連日ニュースで報道されていること、SNSやネットニュースで入ってくる情報を見ても、個人それぞれの問題はなお顕在化したままだと思います。
これから長期スパンでワクチンが開発されてコロナウイルスが人類にとって平気なものになったとしても、会社というものと家というものの有り様は変化したままで前の形にはもどらないのではないでしょうか。
会社に出社し、就業時間を過ごし、家に帰ってくつろぐ。会社で使った神経を休ませる機能が家には必要だったわけです。
調べ物をするためのツールだったネットが、今では電子上のスペースに会社があり、そこで人たちは働くようになる。それもある程度の作業における領域はAIに取って変わられる。少子化と人工の減り、年金問題といった政治上の問題よりもスピードが早く、今までに必要な部分が不要になっていくのです。
では、私達はどう変化すべきでしょうか?就労の定義が大きく変わり、今までは通用していたものがそうではなくなる。AIでは出来ないことを人が担当することになるのでしょうが、そのAIですら常に変化していく。私達は『どう生きていくべきか?』が本当に身近なものになってきました。

SFは現実になりつつある。

SF小説の世界は本当に直ぐ側までやってきていて、SFだと思っていたものは遠くない未来になる。家とオフィスがシームレスになり、会議室は必要なくなります。
私達の有り様が変化することは、社会の変化と同時に建築の変化にもつながるわけです。テレワークが一時的なものではなく一般的なものになった時に、いままでオフィスの維持費として掛けていたコストを他に回せるようになる企業がほぼでしょう。
自社ビルを持っていないベンチャーや中小にとって、オフィスの賃料や維持費はイニシャルコストとして大きいものと思います。それを踏まえた時に、デベロッパーが法人向けのテナントをどうつくろうとするでしょうか?会社の形、有りようが変化するということは、そのままダイレクトにテナントや商業ビルの設計に反映されてきます。
会議室はなくなり、オフィスは部署ごとにブースになり、2フロア借りなくては成り立たななかったのが1フロアで済み、シフト制で出勤日がある。リモートワークでのシームレスな仕事の引き継ぎをして、個人としてというより、よりチームとして動く必要性に迫られる。
今までの社会の常識が壊れて、新しい常識が生まれてくるようになります。慣例のようになっていた名刺交換はより電子化され、一度も直接会わないで商談が成立する場合がでてくる。都市の景観は10年、20年スパンで変遷していき、提供されるサーヴィスも変わっていくでしょう。

住宅も変容していく。。。

私達の生活の変様、社会の変容はダイレクトに住宅にも関係してきます。今までのような○LDKのようなプランの考え方から、よりスペースに対して密に考える必要がある。リビングは団らんの場所、ダイニングは食事の場所が今までの考え方でしたが、スペースの使い方をもっと広く捉えることです。
リビングに限定するのではなく、いくつかのスペースの使い方の選択ができること。それは何故か?社会の消費の考え方が変わり、そしてこれから社会保険や年金の差し引き分が大きくなると言われています。
現在の外食チェーンの仕事をされている方々の大幅な売上減があるように、今まで私達がお金を使っていた部分が違うものに変わります。そして消費する額も変わってくる。一般的に考えると消費が落ち込めば不況になってくるので、行政が施策を打ち出すことになります。
ただ社会の傾向として、必要なものを必要なだけお金を使うような形になるのではないかと考えます。そうなった時に、家を買いますと計画を進める上で、やはり無理のない買い方をしたい。そうなると一番は費用、そして家の広さ・坪数の問題になります。
ただここで言えるのは、従事している仕事によって、リモートワークを行うスペースが必要な方がこれから家を建てる方の中に出てくるのです。それに対してどうアプローチするか。一つは『兼ねる』ことです。
リビングを兼ねる。寝室を兼ねる。家事室を兼ねる。単純にスペースを増やせばローンが重くなるだけですから、兼ねることをプランに取り入れる。これは古来より昭和まで日本人が送ってきた暮らしの間取りでもあります。食卓と茶の間と客間を兼ね、本当のプライバシーの部分が奥の間にあるつくり。台所は茶の間に隣接し、子供部屋は単体としてではなく、兄弟姉妹で使用する共同のスペースでした。
今までより密に家族が暮らしていた空間は、小津安二郎の映画を見ても分かります。引き戸によって可変的に使え、また修繕がしやすい間取りだったのです。そこから戦争を経て、少しずつ社会とともに住宅の有り様も変わり、個性の時代になってきていた。なってきていたんだけれど、コロナ問題を発端にまた社会が変わり始めています。
そこでまた家の考え方も変わりますが、家はそう何度も建てる人は稀だと思いますので、ある程度変化がつけられる間取りであることもまた重要です。スペースは有限であるからこそ、後の変化に対応できるようにすることは要素として大切にしないといけません。

リモートサーヴィスの未来。

リモートワークは様々なサーヴィスを生み出すでしょう。ある意味ワークだけでなくアカデミックな部分でももうサーヴィスは始まろうとしています。
リモートによる塾の授業は、地域や講師の実力の違いがありましたが、リモートになれば優秀な講師の授業を受けることが選択肢になります。サーヴィスの提供側の間口が広がるように、受ける側の間口も広がり、より競争は激化します。通信の限度はあれど、今まで不可能だったことが、制約を受けることで逆に可能になることもあるのです。
これからの家族の有り様、暮らしや人生も含めて、家の形がどうなっていくのか正直明確な答えはありません。ただ所有することがステータスだった時代はとうに終わりを告げました。
今は、必要なものを必要なだけ使うサブスクリプションの時代です。実際に多拠点における家のサブスクのサーヴィスもあります。地域性もあると思いますが、フリーランスを生業としている方には格好のサービスと言えますし、ニーズがあると思います。所有ではなく共有、、、しかも自分が重くなくらしさを持てる。ある意味、農耕民族だった昭和、平成から遊牧の時代になったように思えます。

この記事を書いた人

佐久間 岩男

アイリスホームの代表取締役社長であり、同時に「何でもします課」を自ら公言している。実直な性格だが(見かけによらず)同乗者にあたたかい飲み物を事前に用意しているやさしさを併せもっている。南相馬で生まれ南相馬で社長になった南相馬純血。実は24歳から社長業に勤しんでいるので社長歴20年のキャリアをもっている。とても人情豊かな社長である。