
《故郷に帰る》、、、
どれくらいの人がこの決断をこの10年間の間にしたでしょう。
帰れずに諦める人も、新しい地を自分の故郷にする人も沢山います。
行政の決めたことや自分自身の決断に揺れる10年だったように思います。
いつだって人は《還りたい》のでしょう。自分の住処に。自分自身に。
それが自分の存在の意味で、自分が自分であるために必要なことなのです。
今、人は毎日を見えないものと戦っているけれど、安らぎが得られるような住処を創る一助になれたらと常に考えています。
浪江町の浜の方の高台に位置するところに今回のお家はあります。お施主さんは震災の前に一度注文住宅を建てるご縁を頂いた方です。
行政による区域設定の解除とともに、はじめは震災前に建てたお家をリフォームする相談からお話は始まりました。
現場の調査や見積もりの検討、紆余曲折を経て建て替えをすることをお施主さんは決断されました。そこには故郷やご家族のマイホームへの強い想いがありました。
《もう一度いちから》は、震災から少し経って、この相双地域に住む方々の胸にある言葉だと思います。
- 構造
- 木造
- 階数
- 2階層(1階+ロフト)
- 間取り
- 3LDK+納戸
- 敷地面積
- 1018.01㎡
- 延床面積
- 172.23㎡
大屋根を利用したロフトともつながる大空間のLDK
今回のお家の計画は、平屋のプランを軸に大屋根の大きい空間の小屋裏をロフトや収納として活用したものになっています。
27帖の広々としたLDKと、その上が吹き抜けになっていてロフトにつながる形になっています。
外観は漆喰+石目調 和のモノトーン
屋根はブラック。外壁のベースは漆喰で一部アクセントにストーン系の柄のサイディングを採用。
白と黒のコントラストで和のテイストも感じさせる装いです。大屋根なのでふんだんに太陽光を乗せることができました。
こういった大きい空間や吹き抜けが計画に含まれる時は、まず断熱性と気密性が重要になってきます。お家本体の性能ですね。今回も断熱気密の専門的な工事を担当する職人さんにしていただき、性能値を底上げしました。
気密測定も行い、品質が崩れていないかどうかのチェックもしています。毎回数値が出てくるのですが、半分ドキドキしながら結果を見る形ですね。
吹き抜けの梁、ナチュラルな質感
吹き抜けの部分は大体的に構造の梁を見せることで、木の雰囲気が放つナチュラルな空間と、壁・天井に採用した漆喰の白と相まって優しい空間になることを目指しました。
暖房は床暖房の設備採用しています。夏の冷房は高効率エアコンで、なおかつ大空間をカバーできるよう、天井にシーリングファンを設置して効率を高めています。
和のゲストルーム 家族の憩い
LDKに和室続き間としてつくり、急な来客やゲストの宿泊にも対応できます。
水周りはひとまとめにしてトイレにいったら化粧台にすぐにアクセスできるなど、衛生面にも配慮しています。
オープンなダイニングキッチン 全てを収納するパントリー
キッチンは対面オープンでスッキリ、収納は大きく便利に、がテーマです。
キッチンの北側のパントリーは4畳半のスペースを取り、そこから勝手口につながります。
パントリー内に製作で棚板シェルフを配置し、日用品から何からを置けることを意識しました。
母屋の北側に駐車スペースと進入口の道路があるので、毎日の買い物など、車から降ろす作業は勝手口からをイメージしています。
エピローグ、、、
改めて頂いたご縁に、私達の今できる全てでお答えできるよう尽力しました。
お引渡ししたら終わりではなく、《もう一度いちから》暮らしを一緒に創り上げていくことができればと思っています。
建て替えたお家での新しいスタート、そして末永く家内安全で暮らせますようお祈り申し上げます。
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