住宅を建てるなら「地震に強い家にしたい」ということは誰もが考えることですよね。
しかし、具体的にどのような対策をした家が地震に強いのかわからないという方も、多いのではないでしょう。
今回は、建物の耐震性を高めるのに大切な「筋交い」や「耐力面材」について詳しく比較していきます。
それぞれの違いを理解して、住宅会社選びに役立ててくださいね。
木造住宅は耐力壁の強さが大切
木造住宅を建てるなら、耐力壁を効果的に取り入れて地震の揺れに対応する必要があります。
耐力壁とは、外からの荷重や揺れに対して抵抗力を発揮する壁のことです。
簡単に言うと、地震や台風が起きたときに、建物の倒壊を防ぐための支えとなるような壁のことを指します。
木造住宅は、柱によって縦からの負荷は耐えることが可能ですが、横からの負荷に弱いという特徴があります。
そこで、「筋交い」や「耐力面材」などを使って耐力壁を施工することで、横揺れにも強い建物にすることが可能です。
今回は、耐力壁に使われる「筋交い」や「耐力面材」について、詳しく解説します。
まずは耐力壁について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをチェックしてみてくださいね。
筋交いとは
筋交いとは、柱と柱の間に斜め方向に施工して耐力壁を作る部材のことです。
柱と筋交いは金物によって強固に固定されます。
四角の中が空っぽだと横から押したときにすぐ潰れてしまいますが、割りばしが斜めに入っていれば押しても潰れませんよね。
筋交いは、点や線で耐力壁を強化していくイメージです。
筋交いは昔から日本の木造建築で使われてた方法で、奈良県の法隆寺などでも採用されています。
長い歴史の中で耐震性を実証できている耐力壁の1つです。
筋交いの種類
筋交いは大きく分けて2つの種類に分けられます。
筋交いのサイズ | 壁倍率 | |
片筋交い | 45×90 | 2.0 |
たすき掛け | 45×90 | 4.0 |
筋交いを片方向に施工するか、たすき掛けのように施工するかの違いです。
壁倍率は2倍の差があるため、たすき掛けの筋交いを採用した方が耐力壁の強度が上がることがわかります。
その他にも、筋交いのサイズは「30×90」や「45×105」など、15mm刻みで様々な大きさがあります。
サイズによって壁倍率も異なるため、住宅会社に確認してみましょう。
筋交いのメリット
耐力面材と比べたときの、筋交いのメリットは材料費を抑えることができる点です。
筋交いは耐力面材と比べて安価で仕入れることができるため、価格を抑えて耐力壁を作りたい場合に向いています。
筋交いのデメリット
耐力面材と比べたときの、筋交いのデメリットを紹介します。
断熱材の施工量が減る
デメリットは断熱性の低下でしょう。耐力面材は壁いっぱいに断熱材を充填できますが、筋交いは斜めに材がある部分には断熱材を施工できません。建物内部の耐力壁なら影響はありませんが、外周面に耐力壁を作る場合は断熱性の低下が予想できます。また、細かな隙間ができるため、断熱材の施工に時間や手間がかかる点もデメリットです。
耐震性にも不安が残る
壁倍率が耐力面材と同じでも、実際の耐震性は筋交いの方が劣るということもあります。なぜなら、筋交いは点で支えているため局所的に負荷がかかり、筋交いが折れたり金物が外れる危険性があるからです。対して、耐力面材は面全体で揺れを受け止めるので力が分散しやすく、構造体に負荷がかかりにくいと言われています。
耐力面材とは
耐力面材とは、柱・梁・土台を強化するために施工する面材のことです。
構造材に面材を打ち付けて施工します。
パネル工法と呼ばれる木造住宅では、外周全体に耐力面材を施工して建物を1つの箱のように仕上げます。
建物全体のバランスを見て、筋交いと同様に建物内部にも耐力面材を施工します。
最近では、木造軸組工法の住宅会社のほとんどが耐力面材を採用し、建物の耐震性を高めています。
2×4工法のように面で支えることができるため、耐震性に加えて気密性も強化できる耐力壁です。
耐力面材の種類
耐力面材は、大きく分けて2種類に分けられます。
①木質系の耐力面材
②無機質系の耐力面材
木質系の耐力面材は、薄いベニヤや木質チップを接着剤で熱圧着した面材です。
無機質系の耐力面材と比べて軽さがあり比較的安価な点が特徴ですが。耐火性や耐水性が劣るなどがデメリットです。
また、面材の施工時に多量の接着剤を使うため、シックハウス症候群などの影響が気になるなどの声もあります。
一方、無機質系の耐力面材はセメント、ロックウール、火山灰、珪藻土、シラス等を主原料としている面材です。
木質系の耐力面材と比べて耐火性や耐震性が高く、シロアリにも強いという特徴があります。
また、有害物質を含まない天然素材のみで作られている耐力面材もあり、住む人の身体にも優しいです。
デメリットは、木質系の耐力面材よりも高価な点が挙げられるでしょう。
耐力面材は壁倍率2.5倍以上を確保できる商品がほとんどです。
耐力面材のメリット
筋交いと比較したときの耐力面材のメリットを紹介します。
高い耐震性の家を建てることができる
木造軸組工法では、どうしても柱や梁の接合部に負荷がかかりやすいというデメリットがありました。
筋交いで耐力壁を作っても、点で支えるという基本的な考えは同じため、強い横からの負荷がかかると接合部の金物が外れてしまう可能性もあります。
耐力面材を採用することで、建物全体で力を受け止めることができ、構造体にかかる負荷を分散させることができます。
そのため、木造軸組工法の間取りの自由度はそのままに、2×4工法のように面で力を受け取める耐震性の高い建物に仕上げることが可能です。
断熱性や気密性が高い建物ができる
耐力面材は、断熱性能や気密性能に優れた建物を建てることができます。
筋交いのデメリットでお伝えした通り、耐力面材は柱の間に断熱材をしっかりと充填することが可能です。
断熱材の施工性が高まるほど、建物の断熱性も上がります。
また、構造体の外側に面材が施行されるため、建物の隙間を減らすことができます。
建物の隙間が少ないほど気密性が高まり、外気から隙間風が入りにくいです。
耐力面材を施工することで、快適性も高い家を建てることができるでしょう。
耐火性・防蟻性などに優れる
耐力面材は、不燃性の高い素材で優れているため耐火性に優れます。
また、無機質系の耐力面材はシロアリにも強いため、特別な防蟻処理は必要ありません。
筋交いは一般的な構造材と同じような木材のため、構造体と同様の防蟻処理が必要です。
耐力面材の中でも無機質系なら、更なる付加価値が期待できるでしょう。
耐力面材のデメリット
筋交いと比較したときの耐力面材のデメリットは価格の高さです。
ただし、多くのメリットがある耐力面材を、家づくりに取り入れる住宅会社は非常に多いです。
多くの会社が「お金をかけるべき」と判断して耐力面材を標準仕様にしているため、無駄な費用ではないことを理解しておきましょう。
もう1つ耐力面材のデメリットを挙げるなら、筋交いと比べて重い点でしょう。
特に無機質系の耐力面材の方が重みがあります。
施工する職人さんは大変ですが、住む人に直接関わるデメリットではありません。
マイホーム建築が始まったら、職人さんに感謝の気持ちで接してくださいね。
【おわりに】
木造軸組工法は、耐力壁によって耐震性能が大きく変わります。
全体のバランスを考えながら、適切な位置に耐力壁を配置することが大切です。
また、耐力壁を何で作るかも非常に重要なポイントになります。
耐力面材を使った耐力壁は、構造体を面で支えることができるため、高い耐震性が期待できます。
また、筋交いと比べて断熱性や気密性にもこだわった家づくりができるでしょう。
とても細かいポイントですが、家づくりをするときは耐力壁の内容にもこだわってみてくださいね。
アイリスホームでは、お客様の暮らしに寄り添った家づくりをしています。
耐力壁や耐力面材について詳しく知りたい方、アイリスホームの耐震性が気になる方はぜひお気軽にご相談ください。
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