「ビルトインガレージがある家に住んだら冬場の部屋が寒かった‥」という感想をネット上などで見かけることがあります。
せっかくこだわりのビルトインガレージを作っても、家の中が寒くては満足度は半減してしまいますよね。
では、本当にビルトインガレージがある家は寒いのでしょうか。
今回は、ビルトインガレージが寒いと言われる理由と、新築時にできる寒さ対策を解説します。
ビルトインガレージは寒いと言われる4つの理由
「ビルトインガレージは寒い」と言われる理由を解説します。
①ビルトインガレージ自体の断熱工事をしていないから
ガレージは車やバイクを停めるだけのスペースなので、屋外と接する壁に断熱工事をしないケースも少なくありません。
断熱材が入っていない壁は、外気の影響を大きく受けるため、冬場はどんどんビルトインガレージ内に冷気が入り込む状態に。
その結果、ビルトインガレージは外と同じくらいの温度まで冷え込んで寒くなります。
②コンクリートは底冷えしやすいから
ビルトインガレージの床はコンクリートで仕上げるケースが多いです。
中には、壁もコンクリートを施工する事例もあります。
コンクリートは熱伝導率が高い素材です。
熱伝導率とは熱の伝わりやすさを表すもので、数値が高いほど熱が伝わりやすくなります。
つまり、暑いときには温まりやすい反面、冷たい空気に触れているとかなり冷たくなるということです。
冬場は常に冷たい空気に触れているビルトインガレージのコンクリートは、底冷えしてしまいます。
その結果、ビルトインガレージ全体も寒くなってしまうという仕組みです。
③シャッターや窓から冷気が入り込むから
ビルトインガレージは、車を出入りするために大きなシャッターを付けることが一般的です。
金属製のシャッターは断熱性が高いものではありませんし、開け閉めするためにわずかな隙間もあります。
そのため、屋外からの冷気の侵入を防ぐことができません。
また、ビルトインガレージの換気や採光のために、窓を採用するケースもありますよね。
窓の断熱性・気密性が低いと、シャッターと同様に冷気が入り込んでガレージ内が寒くなります。
ちなみに、ビルトインガレージの快適性は冬場だけが問題ではありません。
夏場はかなり高温になるため、ガレージ内で作業をするなら対策が必要です。
④真上の部屋の床下断熱が十分でないから
ビルトインガレージがある真上の部屋が寒いという意見もちらほら見かけます。
これは、部屋の床下断熱が不十分であることが原因です。
前述した通り、ビルトインガレージは断熱・気密工事を行わないこともあるため、外と同じような環境です。
真上の部屋の床下断熱を行っていないと、ビルトインガレージの冷たい空気が2階まで伝わってしまいます。
部屋の壁や屋根の断熱をしていても、床に断熱材が入っていなかったり不十分だったりすると、熱が逃げてしまうのは想像できますよね。
その結果、ビルトインガレージの真上の部屋は寒い状態になってしまうのです。
ちなみに、ビルトインガレージの真横の部屋も、壁の断熱工事を十分に行わないと寒くなりますので注意しましょう。
「ビルトインガレージの中」に対する寒さ対策4選
ビルトインガレージ内に対する寒さ対策を紹介します。
車のメンテナンスを頻繁にする予定のため、ガレージ内の快適性を求める方は参考にしてみてくださいね。
①ガレージの壁にも断熱材を施工する
ガレージと外を隔てる壁にも断熱材を施工しましょう。
断熱材が壁内にあることで、屋外からの冷気が入り込みにくくすることができます。
ただし、断熱材を施工しても他の箇所から冷気が伝わったり隙間風が入ったりすると、それほど効果が感じられないケースも少なくありません。
この後紹介する対策と組み合わせて採用することをおすすめします。
②断熱性・気密性が高い窓を採用する
ビルトインガレージに窓を採用するなら、断熱性・気密性にこだわって窓選びをしましょう。
具体的には、次のような仕様を検討してみてください。
- 樹脂サッシにする
- ペアガラス・トリプルガラスを選ぶ
- ガラスの間にLow-E膜やアルゴンガスが入っているタイプを選ぶ
採光や屋外を見ることだけが目的なら、開け閉めできない「FIX窓」にすると、気密性が高まります。
ただし、高性能な窓は費用が高いです。
ビルトインガレージで作業をする頻度などを考えて、窓のグレードを選んでくださいね。
③気密性の高いシャッターを選ぶ
ガレージ用のシャッターの中には、気密性にこだわったタイプもあります。
具体的には、シャッターの下部やレール部分に気密ゴムが施工されていて、隙間風を防げるという仕組みです。
一般的な金属製のシャッターではなく、熱伝導率が低い木製のシャッターもあります。
断熱性能を考えるなら木製がおすすめですが、コスト・メンテナンス・耐久性など様々な面でデメリットも。
総合的に考えて、お住まいに合ったタイプのシャッターを選びましょう。
④OSB合板で視覚的な寒さを和らげる
ビルトインガレージ内の壁をコンクリートや外壁材で仕上げると、視覚的に寒いというイメージを与えやすいです。
そこで、薄い木片を圧縮して接着剤で固めた「OSB合板」をおすすめします。
OSB合板を採用することで、木の温かみを感じられるビルトインガレージに仕上げることが可能です。
近年は、アウトドアな空間にOSB合板を採用している事例も増えてきていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「ビルトインガレージ周辺の部屋」に対する寒さ対策5選
ビルトインガレージの真横・真上の部屋に対する、寒さ対策を紹介します。
①断熱材をしっかりと施工する
ビルトインガレージに接する面の断熱材の施工を入念に行うことが大切です。
真横の部屋なら接している面の壁内、真上の部屋なら床下の断熱工事を十分に行いましょう。
- どの断熱材を使うか
- どのくらいの厚みで施工するか
この2点を事前に確認し、納得した上で家づくりをお任せしてください。
また、施工する職人さんの技術力も大切です。
どんなに良い断熱材をたくさん使っても、隙間だらけになっていたら意味がないですからね。
工事中に現場へ行き、断熱材がしっかりと施工されているか自分の目で確認することをおすすめします。
②床暖房を採用する
真上の部屋を暖かくしたいなら、床下断熱を行った上で床暖房を採用しましょう。
床から暖めることで、さらに寒さを感じにくくすることができます。
ただし、真上の部屋の使用頻度によっては、コストパフォーマンスが悪いケースも。
採用するときは、初期費用や毎月の光熱費、メンテナンス費用なども考慮してくださいね。
③窓・扉の性能を高める
ビルトインガレージと部屋の間に窓・扉がある場合は、断熱性や気密性を高めましょう。
壁内の断熱材をしっかり施工しても、窓や扉の性能が低いと冷気が入り込んでしまいます。
おすすめの窓は、小さめのサイズや開け閉めできないFIX窓です。
開閉したい場合は、気密性の高い「すべり出し窓」にすると隙間風を防ぎやすくなります。
ガレージと部屋の間に扉がある場合は、ガラスの面積が少ない、またはガラスがないドアの方が断熱性が高いです。
引き戸よりも開き戸の方が気密性が高まります。
窓や扉に遮熱・断熱機能があるロールスクリーンを付ける方法も効果的です。
細かな仕様までこだわって、部屋の快適性を高めましょう。
④ガレージは局所換気にする
ビルトインガレージ内は、他の空間と分けて換気を行う「局所換気」を選択してください。
局所換気なら、ガレージと室内間の空気の出入りがなくなるため、冷気が部屋に伝わりにくくなります。
また、ガレージの換気を個別にすることで、湿気や排気ガスを効率的に外へ逃がすことができるというメリットも。
かなり細かな点ですが、住宅会社に相談しながらベストな方法を選んでみてくださいね。
⑤ガレージの上に部屋を作らない
ビルトインガレージの真上にある部屋の寒さが気になるなら、そもそも部屋を作らないという方法も選択肢の1つです。
こちらの住まいのように、オープンガレージの上は部屋を作らなければ、床下からの底冷えを防ぐことができます。
また、平屋のガレージハウスならワンフロアなので、床下からの寒さが気になる部屋がありません。
敷地の広さや形状などによって、これらの間取りを採用できることもありますので、住宅会社に相談してみてくださいね。
おわりに
ビルトインガレージは人気の間取りですが、住んでから寒かったと後悔してしまう事例もあります。
事前に寒くなる理由と対策を理解しておくことで、満足度の高いガレージハウスを作ることが可能です。
ビルトインガレージの施工事例が多い住宅会社に相談しながら、使い勝手や快適性にこだわったガレージを作ってくださいね。
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断熱性・気密性を考慮したガレージハウスのご提案も可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。